鉄道遊撃隊(一)

  鉄道遊撃隊(一)  
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荷物の運送費一毛毎に、三人の掌柜がそれぞれ二分(あわせて六分)を取り、荷運び人夫にはたったの四分だけわたった。
帳簿をつけおわり、三掌柜は王強の肩をたたいて言った。
「王サン、私達トモダチ、タクサンタクサン」(※)
王強は満面に笑みをみせながら、心の中でこうつぶやいた。
「おまえらバカどもをぶっ殺してようやくタクサンタクサンだ」


※xxx的(de)はそれをつけた名詞などをユニットにして続く言葉を修飾するときにつかう表現。「てにをは」で名詞をくるんでユニット化する日本語的思考法とよくあうため、日本人はよくつかってしまうが、つかいすぎると中国語的表現から離れていく。たとえばこのセリフにはまず肝心の動詞がないし、相手の姓に的をつけるだけで済ましている。このxx的は日本人を示す記号的表現として以後たくさんでてくる。日本語でいう「xxxアル」のような表現。
このカタコト中国語は、満洲方面で日本人が中国語のつもりで使っていた言葉。